対称エネルギーと原子核ー原子核衝突シミュレーション

概要

高密度核物質の対称エネルギーは中性子星の構造を知る上で重要な物理量であるが、曖昧さなく定めることが容易でない。近年、中間エネルギー領域での中性子過剰核ビームを使った原子核衝突実験が計画され、対称エネルギーに関する新たな知見が得られるものと期待されている。この領域での原子核‐原子核衝突には半古典的輸送方程式に基づく理論が有効とされているが、観測量の予想がシミュレーションコードにより異なるのが現状である。本ワークショップでは、シミュレーションの基礎となる理論の特徴、問題点や有効核力のレビュー(J.Stone氏ら関係者による)と一般参加者からの問題提起,議論を通じて、不定性低減のため理論的アプローチの改善すべき点を明らかにし、その妥当性を実験的に確認する方法を検討する。そして高密度核物質の対称エネルギーの実験的確定に向けて今後の理論・実験の方針を策定する。


日程:2013年7月2~4日


会場:理化学研究所 RIBF棟大会議室


仁科センター共用促進・産業連携部ミニ・ワークショップ/共催:新学術領域「実験と観測で解き明かす中性子星の核物質」

世話人:石塚知香子(東京理科大)、磯部忠昭(理研)、稲倉恒法(千葉大)、中里健一郎(東京理科大)、中田仁(千葉大)、丸山敏毅(原研)、村上哲也(京大)


  • トピックス
    1. 実験や観測から真空中の原子核核状態方程式を決める際には間に必ず理論が入る。特に高密度核物質については実験で好まれる柔らかい状態方程式と中性子星の観測で 示唆される硬い状態方程式の間にギャップがある。 そこで考えられる問題点は何か?
    2. 各理論から対称エネルギーや状態方程式に必要な物理量を引き出す際の仮定等の 妥当性と考えられる問題点の列挙。
    3. 実験のデータ解析の際に、どの物理量を確認すれば理論の妥当性を確認できるか? 候補となる物理量を検討する。
    4. 核構造研究から高密度核物質に迫れないのか?

  • プログラム(順不同)
    • QMDについて(講演題目:TBA) 丸山敏毅(原研)
    • BUUについて(講演題目:TBA) 大西明(京大基研)
    • AMDについて(講演題目:TBA) 小野章(東北大)
    • 有効相互作用について(講演題目:TBA) Jirina R. Stone氏(University of Tennessee-Knoxville, University of Oxford)
    • MF, HF, Tensroについて 土岐博 (RCNP)
    • Eos, 巨大共鳴, Esymについて 佐川弘幸(理研,会津大学)
    • TDHFについて 岩田順敬(東大CNS)
    • TDHFとBCSについて 江幡修一郎(北大VBL)
    • HICと解析モデルについて 村上哲也(京都大学)
    • NS、Esymについて 鈴木英之(東京理科大)
    • 題目未定 磯辺忠明(理研)