news
●石川竣喜さんが 物理学専攻賞を受賞しました。(2019.02.18)
プレスリリース(2017.02.02)

研究紹介
   短寿命核ビーム物理グループでは、短寿命の原子核ビームを用いた実験により、 宇宙で起きている元素合成反応の研究と、短寿命の原子核の構造の研究を行っています。

天体核反応の研究

   138億年前にビッグバンが起きました。 直後にクオークグルオンプラズマ相転移が起こり、ハドロン(バリオンとメゾン)が作られました。 陽子・中性子以外のバリオンは陽子と中性子に崩壊しました。 ビッグバン直後に起きた元素合成(BBN)では、陽子と中性子から重陽子、ヘリウム、 リチウムなどが合成されました。重水素・ヘリウムの観測値はBBNモデルの計算値と一致して いますが、リチウムの観測値はBBNモデルの計算値の1/4〜1/3しかありません。 これは宇宙リチウム問題と呼ばれており、この解決がBBNの最重要課題の1つとなっています。 炭素より重い元素は星での元素合成で作られました。現在、提唱されている元素合成のシナリオでは、 宇宙の元素組成を定量的に説明できません。最近、超新星ではウラン等の重元素が合成 できないことが判明し、中性星合体で重元素合成が合成されたと考えられています。 新星・超新星等の高温高密度の環境下での元素合成では、爆発的に元素合成が進み、 短寿命核が安定核に崩壊する前に陽子や中性子を捕獲する反応が起きます。
   元素の起源に関する諸問題の解明には、短寿命核が陽子・中性子・ヘリウム原子核 を捕獲する原子核反応の反応率(反応の起りやすさ)を実験で決定する必要があります。 このため、本研究グループでは、短寿命核ビームなどを用いた原子核実験を行っています。

新同位体探索実験

   自然界で10-9秒以上の寿命を持つ原子核は、陽子と中性子から作られています。 自然界で安定に存在する原子核は約300種存在しています。 理論計算では10-9秒以上の寿命を持つ原子核は約10000種あると考えられていますが、これまでに存在が確認された原子核はその1/3の約3200種にすぎません。 超新星などで起きている元素合成過程(早い中性子捕獲過程、r過程)で通る原子核の多くも存在が確認されていません。 私逹は、未知の原子核を生成し、その性質を調べています。

原子核構造の研究

   短寿命の原子核の中には、安定な原子核がもっている魔法数が消失したり、安定核と異なる数が魔法数となっている原子核があります。 原子核反応で短寿命核を励起し、その脱励起時に放出されるγ線や崩壊時に放出される陽子や中性子などを測定することで、短寿命核の構造や形状などを調べています。