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天体核反応の研究
物質の源である元素は、水素を除くと、約138億年前に起きたビッグバンの後に
宇宙のどこかで、原子核反応で作られたものです。
ビッグバン直後には、陽子と中性子、電子と中性微子などがあるだけで、
炭素、窒素、水素、鉄、金、鉛、ウラン等は存在しません。
元素を合成する原子核反応がいつ、どこで起きて、どのような反応で、
どれだけの元素が作られたかについて、理論的考察が行われていますが、
まだ観測された元素の比や同位体比を再現できていません。
新星・超新星等での高温高密度の環境下では、短寿命核が崩壊して安定な原子核に
なる前に核子(水素や中性子)を吸収する反応が重要な役割を果します。
鉄のピークより重い元素の約半分はこの過程で合成されたと考えられています。
元素合成反応で作られる元素量は、天体模型で計算される温度・密度と
短寿命核の半減期と放射捕獲反応率(反応の起りやすさ)から計算できます。
反応経路と考えられる元素で、半減期が分っているものは限られており、
短寿命核の放射捕獲反応率については、ほとんど分っていません。
私達は、短寿命核ビームを用いた原子核実験で短寿命核の放射捕獲反応の研究を
行い、元素の起源の解明を進めています。
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