ハイパーボールを用いた高分解能ハイパー原子核γ線分光

 

ハイパーボール 実験メンバー   ハイパー核の作り方

我々は、高エネルギー加速器研究機構(KEK)や、米国ブルックヘブン国立研究所(BNL)の陽子加速器を使って作られるπ中間子やK中間子のビームを原子核に当て、ハイパー核を人工的に作っています。 そのとき放出される別の中間子やガンマ線を測定して、ハイパー核の質量を分析し、その構造を詳しく調べることができます。 そこから、原子核物理学を陽子・中性子の多体系ではなくクォークの多体系として捉え、「物質とは何か」を問い直す研究を進めることができます。 


ゲルマニウム検出器BGOシンチレーション検出器を組み合わせた大型ガンマ線検出装置「ハイパーボール(左の写真)」は、ハイパー核のガンマ線が測れる世界唯一の装置です。 我々は、この装置を開発して世界で初めてハイパー核のガンマ線を精密測定し、ハイパー核の構造を従来の500倍の精度で明らかにしました。  ゲルマニウム検出器は、超高純度(99.999999999%)のゲルマニウムの結晶を使った半導体放射線検出器でガンマ線のエネルギーを誤差 0.1 % という高精度で測定することができます。 現在、さらに大型の“ハイパーボールJ”を建設しています。


下の図は、測定されたハイパー核のガンマ線スペクトルです。 ラムダ粒子と陽子・中性子間の力の性質を解明し、さらにラムダ粒子によって核が収縮することを発見しました。

γ線のスペクトル