大学院・研究者を目指す人へ

実験系・理論系

筆記試験が行われた後に面接がありますが、ここではその人の適正を見ているはずです。 東北大の物理では、面接を行うのは講師以上なので私は面接に参加したことがありません。 指導教員になることが出来る人(=講師以上)が面接を行っているので、ここから先に述べるのは自分が考える大学院生としての適正になります。

実験系の研究室では、自分で実験装置を作り測定することを避けて通れません。 素粒子実験の巨大なコラボレーションに参加している研究室では、すでに誰かが作って測定装置を使い、誰か収集したデータを解析するだけだと思うかもしれませんが、そのような場合でもその研究室で次世代の実験に向けた検出器のR&D(研究開発)を行っているはずです。 どんな場合でも、物を作って動かすということが必要になります。

学部までは、教科書を呼んだり講義を受けたりして勉強することがメインです。 しかし、卒論研究の段階でもそうですが大学院では自分で考えて物を作るという機会が増えます。 増えるというより、それが中心となることの方が多いでしょう。

時々、検出器や装置を設計したり制作したりすることがちっとも楽しくなさそうな学生さんに出会います。 それなら何で実験系の研究室に来たんだろうと思うのですが、よく分かりません。 理論の研究室に行きたかったけど、成績が余りよくなくて引き受けてもらえなかった場合もあるでしょう。 あるいは、自分で物を作る機会を子供の頃から持つことがなく、何がどう楽しいのか分からないのかもしれません。

「この装置を作って測定したら、こんなおもしろい物理が見えるよと」動機付ければよい、とある人に言われましたが、その物を作る過程が楽しめない人が遠い先までモチベーションを持っていけるのかは、個人的には疑問です。 日々のちょっとしたことに楽しみを感じることが重要ではないかと思います。 ゴールにたどりつければいいのですが、途中で倒れた場合、苦行の記憶だけ残るというのは当人もいやでしょうし、一緒にやっているこちらとしてもうれしくありません。 物作りに喜びを感じることが出来てなおかつ物理にも興味がある、そんな人が実験系の研究に向いているのではないでしょうか。

あと重要なのは、人と話が出来ること。 実験は一人で行うわけではないので、複数人で協力して行います。 そこで、コミュニケーション出来ないと何も進みません。 最初は分からなくて当たり前なので、どんなことでも質問して聞いて行くことが重要です。 もちろん、「仏の顔も三度まで」ということもあります。 何度も同じことを繰り返し聞いていると、温厚な人でも「本当に理解しようとしているのかな」あるいは「この間言ったことを理解しているのかな」と思います。 聞いたことはきちんとメモを取るなりし、その都度自分が理解出来たこと出来ていないことはっきりさせましょう。 また、同じことについて質問をする場合でも、「ここまでは理解しているけどこれが分からない」というような尋ね方をすれば聞かれている方も安心です。

最初から全てのことが出来るわけではないので、怖れる必要はありません。 少しずつ進歩してくこと進歩していることが人に分かるように話が出来たり質問できることを目指しましょう。

理論系の研究室については、私は「バイバイ」と言われた立場なのでよく分かりませんが、個人的には中途半端な秀才では行くと辛いのではないかと思います。 学部の授業の成績が良いことだけの「お勉強の出来る人」は、向かないような気がします。 受け入れ側の研究室もその人が理論屋としてやっていけるかどうかの数学的・物理的センスがあるかどうかを問うはずです。

理論の研究室に行きたかったんだけど、引き受けてもらえなかったので実験の研究室に行くということが多々あります。 自分もその一人なわけですが、物を作ることが好きだったことと、物理がしたいというより「研究が好き」だったことが幸いしているでしょう。 それだけではなく、「自分はこれしかしないんだ」とは思っていなかったことや、柔軟に考えることが出来たことが良かったと思っています。


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Last-modified: 2009-04-30 (木) 10:49:23 (3770d)